《うた》は、
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屋敷田畝《やしきたんぼ》に光《ひか》る物《もの》ア何《なん》ぢや、
  蟲《むし》か、螢《ほたる》か、螢《ほたる》の蟲《むし》か、
 蟲《むし》でないのぢや、目《め》の玉《たま》ぢや。
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 頃日《けいじつ》至《いた》る處《ところ》の辻《つじ》にこの聲《こゑ》を聞《き》かざるなし。
 目《め》の玉《たま》、目《め》の玉《たま》! 赫奕《かくやく》たる此《こ》の明星《みやうじやう》の持主《もちぬし》なる、(應《おう》)の巨魁《きよくわい》が出現《しゆつげん》の機《き》熟《じゆく》して、天公《てんこう》其《そ》の使者《ししや》の口《くち》を藉《か》りて、豫《あらかじ》め引《いん》をなすものならむか。



底本:「鏡花全集 巻四」岩波書店
   1941(昭和16)年3月15日第1刷発行
   1986(昭和61)年12月3日第3刷発行
入力:馬野哲一
校正:鈴木厚司
2000年11月9日公開
2007年2月11日修正
青空文庫作成ファイル:
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