待つても点《つ》かない。東京の電燈が夏の間だけ昼も点くのは旋風器に送電するからである。今日は涼しくて旋風器の用がないから会社で送電を止めたのであらう。良人は蝋燭を点けて二階へ何か読みに行つた。肴屋が来たと咲が知らせて来た。もう正午前《ひるまえ》になつたのである。自分は戸を細目に開けて其明りで之を書き終つた。



底本:「日本の名随筆19 秋」作品社
   1984(昭和59)年5月25日第1刷発行
   1991(平成3)年9月1日第12刷発行
入力:渡邉つよし
校正:浦田伴俊
2000年6月22日作成
2005年1月26日修正
青空文庫作成ファイル:
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