と、その人たちの十三|絃《げん》や琵琶《びわ》を一度合奏する女ばかりの催しをしたい。現代の大家といっても私の家族たちの音楽に対する態度より純真なものを持っていませんよ。私はたいした音楽者ではないが、すべての芸に通じておきたいと思って、少年の時から世間の専門家を師にしてつきもしたし、また貴族の中の音楽の大家たちにも教えを乞《こ》うたものですが、特に尊敬すべき芸を持った人と思われるのはなかった。その時代よりもまた現在では音楽をやる人の素質が悪くなって、芸が浅薄になっていると思う。琴などはまして稽古をする者がなくなったということですからあなただけ弾ける人はあまりないでしょう」
 と院がお言いになると、宮は無邪気に微笑《ほほえ》んで、自分の芸がこんなにも認められるようになったかと喜んでおいでになった。もう二十一、二でおありになるのであるが、幼稚な所が抜けないで、そして見たお姿だけは美しかった。
「長くお目にかからないでおいでになるのだから、大人になってりっぱになったと認めていただけるようにしてお目にかからなければいけませんよ」
 と事に触れて院は教えておいでになるのであった。実際こうした良人《
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