小杉未醒氏
芥川龍之介
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)突兀《とっこつ》たる
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)返方|瘴煙《しょうえん》の気を
〔〕:アクセント分解された欧文をかこむ
(例)〔Re^vons……le feu s'allume〕 とか
アクセント分解についての詳細は下記URLを参照してください
http://aozora.gr.jp/accent_separation.html
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一昨年の冬、香取秀真氏が手賀沼の鴨を御馳走した時、其処に居合せた天岡均一氏が、初対面の小杉未醒氏に、「小杉君、君の画は君に比べると、如何にも優しすぎるじゃないか」と、いきなり一拶を与えた事がある。僕はその時天岡の翁も、やはり小杉氏の外貌に欺かれているなと云う気がした。
成程小杉氏は一見した所、如何にも天狗倶楽部らしい、勇壮な面目を具えている。僕も実際初対面の時には、突兀《とっこつ》たる氏の風采の中に、未醒山人と名乗るよりも、寧ろ未醒蛮民と号しそうな辺方|瘴煙《しょうえん》の気を感じたものである。が、その後氏に接して見ると、――接したと
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