命ばかりは御助け下さいまし。」と、がたがたふるえながら申し上げました。
それから先の事は、別に御話しするまでもありますまい。髪長彦は沢山御褒美を頂《いただ》いた上に、飛鳥《あすか》の大臣様の御婿様《おむこさま》になりましたし、二人の若い侍たちは、三匹の犬に追いまわされて、ほうほう御館《おやかた》の外へ逃げ出してしまいました。ただ、どちらの御姫様が、髪長彦の御嫁さんになりましたか、それだけは何分昔の事で、今でははっきりとわかっておりません。
[#地から1字上げ](大正七年十二月)
底本:「芥川龍之介全集2」ちくま文庫、筑摩書房
1986(昭和61)年10月28日第1刷発行
1996(平成8)年7月15日第11刷発行
底本の親本:「筑摩全集類聚版芥川龍之介全集」筑摩書房
1971(昭和46)年3月〜1971(昭和46)年11月
入力:j.utiyama
校正:かとうかおり
1998年12月7日公開
2004年3月8日修正
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