と車庫の中もきれいにお掃除してくれるわ。」ピリイは言うのでした。
しかし、男の子も女の子も、なかなか来てはくれませんでした。二人は、コンクリイトの床を歩きまわる小さなタイヤの音や、夜中に、自分たちのそばで可愛らしいラッパのいびきをかいている小さな自動車のことを考えると、居心地《いごこち》のいい車庫にはいてもちっとも、しあわせだとは思えないのでした。
ある日、ピリイは言いました。
「あたしたちに、もう、自分の子供が出来るあてがないとしたら、いっそのこと、可哀《かわい》そうな孤児《こじ》かなんかを養子《ようし》にもらったらどうでしょう。」
ポピイは、しかし、この考えには、あまり乗り気になれませんでした。身寄りのない、気の毒な子を育ててやるということには、もちろん賛成なのですが、それでは、自分の名前をつがせることが出来るかどうかと、心配でならなかったのです。
でも、ピリイの方は、もう、かたく決心しておりました。いつでも、一度言い出したことを、あとにひかないのが、ピリイのくせでした。ピリイは、どこまでも孤児をもらうのだと言い張りました。ピイピイ、ラッパを鳴らしたり、放熱器《レディエイタ
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