初年信教の自由許され、カソリック教の宣教師が来朝し、長崎大浦の地に堂宇を建てて、朝夕の祈祷《きとう》をしていると、どこからともなく集って来た百姓が、宣教師の背後に来て、しずかに十字を切った。
 その数が日に殖《ふ》えて、日本に於けるカソリック教復活の先駆を成したのである。

     後記

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この物語を作るに際し参考としたものは次の如し。
  島原天草日記
  松平輝綱の陣中日記
  島原一揆松倉記
  天草士賊城中話
城中の山田佐右衛門の口述書で、一名『山田佐右衛門覚書』とも云う。
  立花宗茂島原戦之覚書
  肥前国有馬古老物語
  原城紀事
  徳川実記
  其他
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底本:「日本合戦譚」文春文庫、文藝春秋社
   1987(昭和62)年2月10日第1刷
※底本は、物を数える際に用いる「ヶ」(区点番号5−86)(「十数ヶ村」)を、大振りにつくっています。
入力:網迫、大野晋、Juki
校正:土屋隆
2009年11月13日作成
青空文庫作成ファイル:
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