きの取れなくなった気持を、そのまま言葉の調子に表して、美和子を追及した。
「美沢さんて、いけないのよ。」
「どうして!」
「だって、日曜日ごとに会おうって、約束しちまうんですもの。」
「いつ、そんな約束したの。」
「この前の日曜日よ。あんまり、色々訊かないでよ。お姉様。」
「それで……それで、貴女いいつもり?」新子は、口が利けなくなっていたが、それでもまだ健気《けなげ》に、涙だけは抑えていた。
 美和子は、クルリとこちらへ向いた。
「美沢さんは、お姉さまに、悪いといっていたわ。でも、美沢さんもいっていたわ。新子さんは、僕と結婚するつもりはないんだって。……私は、お姉さまが、許して下されば、あの人と結婚するつもりでいるの。」新子は、茫然としてしまった。たちまち、愛人からも肉親からも、馬鹿にされたような、深い悲しみを感じた。
 彼女は、妹の前で泣いてはならぬと、グッと喉もとで、悲しみをこらえながら、
「許すも許さないも、ないけれど。だって……」と、云いさして、こらえ切れなくなり、妹から顔をそむけた。
 美和子も、涙をこらえていた。彼女は、自分が、美沢と交際することが、こんなにまで姉を苦しめるとは思っていなかった。幼かったとき、姉がよく玩具《おもちゃ》などについての無理を聞いてくれたほどの手ぬるさで、許してくれると思っていた。だって、お姉さまは、美沢さんに不即不離だったんだもの、私の方がハッキリ愛しているんだものと、思っていた。だから、姉がこんなに狼狽し、こんなに悲しがるとは思わなかった。それで彼女も、悲しくなって、うつむいて、靴下の爪先に、ぽたりと涙を落した。
 しかし、もうどうすることも出来なかった。
 その涙も、一分も経たない内に収まってしまうと、かの女は、姉に露骨にいってしまった晴々した幸福の方が、ムズムズ強くなった。
 お姉さまは、何とかあきらめて下さるに違いないと思った。
 日曜日ごとに会おうということは、本当は美和子の方からいい出したので、今日も美沢がほかに用などの出来ない内にと、一刻も早く出かけたかった。
「お姉さんが、こんなに急にお帰りになると思わなかったんだもの……だから不意にこんなこといっちゃって……」いいわけにもならぬことをいいながら、階下《した》へ降りる機会《しお》を、計っていた。

        五

 美和子が階下《した》に降りて行き、やが
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