ったかどうかを考えずにはおられなかった。彼の心には Scabies が、この高貴にして可憐な青年の志望を犠牲にしなければならないほど恐ろしい伝染病であるかどうかが、疑われてきた。彼は、皮膚病学の泰斗《たいと》がそれについてどういう言説をなしているかを知って、自分の激しく動揺する良心を落ち着けたいと思った。彼は悄然《しょうぜん》として、船の文庫《ライブラリー》の方へ歩いて行った。



底本:「菊池寛 短編と戯曲」文芸春秋
   1988(昭和63)年3月25日 第1刷発行
入力:真先芳秋
校正:大野 晋
2000年2月8日公開
2004年2月16日修正
青空文庫作成ファイル:
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