、実にいい。説明ばかりだが実にいい(説明はダメ飽くまで描写で行かねばならぬなどと言う人は一度是非読む必要がある)。「出来事」もいい。何でもない事を描いているのだがいい。「清兵衛と瓢箪」もいいと思う。
 志賀氏の作品の中では「赤西蠣太」とか「正義派」などが少し落ちはしないかと思う。
 色々まだ言いたい事があるが、ここで止めておこう。ともかく、自分の同時代の人として志賀氏がいるという事は、如何にも頼もしくかつ欣《よろこ》ばしい事だと自分は思う。
 最後にちょっと言っておくが、自分はこの文章を、志賀氏の作品に対する敬愛の意を表するためにのみ書いたのである。
[#地付き](一九一八年十一月)



底本:「半自叙伝」講談社学術文庫、講談社
   1987(昭和62)年7月10日第1刷発行
入力:大野晋
校正:noriko saito
2005年1月6日作成
青空文庫作成ファイル:
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