ゃるかでしたから。
「私、たぶん、アラジンは死んでしまったのだろうと思いますの。ですから、私、あなたのおよめさんになりたいと思っています。まあ、それはともかく、さあ、ごはんにしましょう。おや、きょうもやっぱり、しなのお酒ですのね。私、しなのお酒にはもうあいてしまいましたから、アフリカのお酒を持って来てくださいな。」
と、お姫さまがおっしゃいました。
 アラジンは、そのまに、粉を用意して来て、お姫さまに、ご自分のおさかずきの中へ入れてください、とたのみました。そして、まほう使がアフリカのお酒を持って帰って来た時、お姫さまは、粉を入れたおさかずきに、そのお酒をなみなみとおつぎになりました。そして、これから仲よくなるしるしですから飲んでください、と言って、まほう使におさしになりました。まほう使はよろこんで、それに口をつけました。しかし、それをみんな飲みほさないうちに、床《ゆか》の上にたおれて死んでしまいました。
 アラジンは、かくれていた次のへやからとんで出て来て、まほう使の上着の中をさがしまわしました。そして、まほうのランプをとり出して、大よろこびでそれをこすりました。
 おばけが出て来ますと、すぐに御殿をしなへ持って帰って、もとの場所に立てるようにと言いつけました。
 次の朝、王さまは大そう早く目をおさましになりました。王さまは悲しくておねむりになることができなかったのです。そして、まどのところへ行ってごらんになると、アラジンの御殿が、もとのところに立っているではありませんか。王さまは、うそではないかとお思いになりました。それで何べんも何べんも目をこすっては、じっと御殿の方をごらんになりました。
「ゆめではないのかしら。朝の光を受けて前よりももっと美しく見える。」とおっしゃいました。
 それからまもなく、馬に乗って、アラジンの御殿をさして、走っていらっしゃいました。そして、アラジンとお姫さまとを両手にだきしめて、およろこびになりました。二人はアフリカのまほう使の話をしてお聞かせしました。アラジンはまた、まほう使の死がいもお目にかけました。
 それからまた、昔のような楽しい日がつづきました。

 しかし、まだもう一つアラジンに心配が残っていました。それは、アフリカのまほう使の弟《おとうと》も、やっぱりまほうを使っていたからです。そして、その弟は、兄さんよりももっと悪者だったからであります。
 はたして、その弟がかたきうちのために、しなへやって来ました。アラジンをひどい目にあわせて、まほうのランプをぶんどって来ようと決心して来たのであります。そして、しなへつくとすぐに、こっそり、まずファティマという尼《あま》さんをたずねて行きました。そして、上着とベールとを、むりやりにかしてもらいました。それから、このことがほかの人に知られてはいけないと思って、尼さんを殺してしまいました。
 さて、この悪者のまほう使は、尼さんの上着とベールとをつけて、アラジンの御殿の近くの町を通りました。町の人々は、ほんとうの尼さんだと思って、ひざまずいてその上着にキッスしました。
 まもなく、お姫さまは、ファティマが町を通っているということをお聞きになりました。それで、すぐ御殿へ来てくれるようにと、使をおやりになりました。お姫さまは、ファティマをしじゅう見たい見たいと思っていらっしたものですから、尼さんが来た時、大へんていねいにおもてなしなさいました。そして大広間へつれておいでになって、同じ長いす[#「いす」に傍点]に腰《こし》かけながら、
「このへやがお気に召しまして。」と、お聞きになりました。
 まほう使はベールを深くかぶったままで、
「ほんとうに、目がさめるほどおきれいでございますこと。ですけれども、私このおへやに、たった一つほしいと思うものがございますのよ。それはほかでもございません、ロック鳥《ちょう》の卵が、あの高い天じょうのまん中からぶらさがっていたら、もう申し分なしだと思いますわ。」と、答えました。
 これをお聞きになってお姫さまは、何だか急に、この大広間がものたりないように思いはじめになりました。そして、アラジンが入って来た時、大へん悲しそうな顔をしていらっしゃいました。アラジンは、何事が起ったのですか、とたずねました。お姫さまは、
「私、この天じょうから、ロック鳥の卵がぶらさがっていなきゃあ、何だか悲しいんですもの。」と、おっしゃいました。
「そんなことなら、ぞうさないじゃございませんか。」と、アラジンはこともなげに言ってランプをおろして、廊下《ろうか》へ出てあのおばけを呼びました。
 けれども、ランプのおばけは、その命令を聞くと、大へんおこりました。顔をぶるぶるふるわせながら、アラジンをしかりつけました。
「大ばか者、そんなものを私がやられる
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