日本名著全集」でも知られる通《とほり》、良書の第一をモットーとし、利害を度外に置いてゐる人であり、その上資力充実してゐるから、全八十巻を完全に出版し得ると思ふ。その上、文藝春秋社も裏書をする意味で、名前を列べることにした、予約について充分の責任を負はんためである。最初は、四六版の計画であつたが、発表前後に、共同印刷所へ、全|頁《ページ》四度刷と云ふ破天荒な機械が輸入されたので、(その機械は菊版でなければかゝらないので)急に菊版に模様がへした。第一|頁《ページ》から奥附まで、四度刷に出来るのだから、色刷の挿画を毎|頁《ページ》にだつて入れることが出来るのである。従つて、出版界の革命を起すだらうと思はれる。
その上、定価は三十五銭である。菊判三百|頁《ページ》で、三十五銭であるから、廉い/\と云はれる如何なる全集も、到底比べものにはならないだらう。
だが、その破天荒の廉価は、たゞ大量生産に依つてのみ、支持されるのであるから、二十万部三十万部では損失は免れないのである。従つて、出来るだけの予約者を得たいから、本誌の読者諸君に挙つて尽力していたゞきたいと思ふ。
今度は、自分も全力をつくし
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