くのは止した方がいい。此処にいらっしゃい。ねえ、行くのはお止しなさい。
須貝 つまらん。止したまえ。
昌允 あなたは、そんなことで、自分の一生のことを決めたり破ったりするんですね、それじゃァ。
須貝 そう大袈裟《おおげさ》に言わんで下さい。あなたは、どうやら僕を非難したい口振りだが、僕にとっては、一つが失敗すれば、後はどれもこれも同じ値打しか持っていませんよ。
昌允 あなたと言う人は、真面目なんですか。真面目なんですかそれで。
須貝 折角ながら、僕にもわからんです。どちらにでもなろうと思えばなれる。と言う所ですね。しかしも少し放っておいて下すったら、僕はきっと未納君を細君にしたくなったと思いますね。おかしな話ですな。
昌允 ――。
須貝 どら。みなさんによろしく、もう、夏ですな。夕方は実にいい。
昌允 仕事の方はどうします。
須貝 それは先生の処置にまかせておきましょう。
昌允 宿が定《きま》ったら、知らせて下さるでしょう。
須貝 知らせましょう。奥さんに明日の晩は成功を祈ると言って下さい。いや、言わない方がいいかな。
昌允 そう言っときましょう。明日は、変ったことが二つあると思ったが
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