の手で調べて上げた機会と望みがあるんだね、エベネザー君よ。」
「お前さんはいつも私には親切な友達でしたよ」とスクルージは云った。「どうも有難う!」
「お前さんはお見舞いを受けるよ」と、幽霊は言葉を次いだ、「三人の幽霊に。」スクルージの顔はちょうど幽霊の顎が垂れ下がったと同じ程度に垂れ下がった。
「それがお前さんの云った機会と望みのことなんですか、ジェコブ君。」と、彼はおどおどした声で訊いた。
「そうだ。」
「私は――私はいっそ来て頂きたくないので」と、スクルージは云った。
「三人の幽霊の訪問を受けなけりゃ」と、幽霊は云った、「到底私の踏んだ道を避けることは出来ないよ。明日一時の鐘が鳴ったら、第一の幽霊が来るからそう思っていなさい。」
「皆一緒に来て頂いて、一時に済ましてしまう訳には行きませんかな、ジェコブ君」と、スクルージは相手の気を引いて見た。
「その明くる晩の同じ時刻には、第二の幽霊が来るからそう思っていなさい。またその次ぎの晩の十二時の最後の打ち音が鳴り止んだときに、第三の幽霊が来るからそう思っていなさい。もうこの上私と会おうと思いなさるな。そして、二人の間にあったことを貴方自身
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