を打った。
スクルージは周囲を見廻わしながら精霊を捜したが、見当らなかった。最後の鐘の音が鳴り止んだ時、彼は老ジェコブ・マアレイの予言を想い出した。そして、眼を挙げながら、地面に沿って霧のように彼の方へやって来る、着物を着流して、頭巾を被った厳かな幻影を見た。
第四章 最後の精霊
幽霊は徐々に、厳かに、黙々として近づいて来た。それが彼の傍に近く来た時、スクルージは地に膝を突いた。何故ならば、精霊は自分の動いているその空気中へ陰鬱と神秘とを振り撒いているように思われたからである。
精霊は真黒な衣に包まれていた。その頭も、顔も、姿もそれに隠されて、前へ差し伸べた片方の手を除いては、何にも眼に見えるものとてなかった、この手がなかったら、夜からその姿を見別けることも、それを包囲している暗黒からそれを区別することも困難であったろう。
彼はそれが自分の傍へ来た時、その精霊の背が高く堂々としていることを感じた。そして、そう云う不可思議なものがそこに居ると云うことのために、自分の心が一種厳粛な畏怖の念に充されたのを感じた。それ以上は彼も知らなかった。と云うのは、精霊は口も利かなければ
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