がられそうもないので、吉五郎は手を貸して扶《たす》け起こすと、留吉はぐたりとしていた。
「留。どうした。しっかりしろ」
こうなると、蝶の詮議は二の次にして、子分を介抱しなければならないので、吉五郎は留吉を抱くようにして墓場を出た。寺の玄関へ廻って案内を乞うと、奥から納所《なっしょ》が出て来た。留吉はさっき提灯を借りに行ったので、納所もその顔を識っていた。
「その人がどうかしたのですか」
「そこで転んで怪我をしたらしいんです。済みませんが、燈火《あかり》を拝借したいので……」
留吉を玄関に横たえて、納所が持って来た灯のひかりに照らして見ると、留吉は脾腹を打ったほかに、左の手も痛めているらしかった。吉五郎は自分の身許を明かして、直ぐに医者を呼んで貰いたいと頼むと、納所は異議なく承知して、寺男を表へ出してやった。
吉五郎らの身許を知ったので、寺でも疎略《そりゃく》には扱わなかった。住職もやがて奥から出て来た。彼は納所らに指図して、書院めいた座敷へ怪我人を運び込ませた。
「夜中お騒がせ申して、相済みません」と、吉五郎はあらためて住職に挨拶した。
「いや、どう致しまして……」と、住職は留吉
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