おめえ達じゃあなかったかな」
 相手の顔色の変ったのを見て、吉五郎は畳みかけて云った。
「おめえ達はふだんからお近さんの世話になって、相当に小遣いも貰っていたんじゃあねえか。よんどころなく頼まれたとは云いながら、その死骸を捨てる役を引き受けちゃあ、あんまり後生《ごしょう》がよくあるめえぜ」
「なんと云われても、そんな覚えはねえよ」と、鉄造は再び声を尖らせた。
「そう喧嘩腰になっちゃあいけねえ。おたがいに仲よく一杯飲みながら話そうと思っているんだ」
 あたかも女中が膳を運んで来たので、話はしばらく途切れた。女中に酌をさせて一杯ずつ飲んだ後に、ふたりは再び差しむかいになった。
「目白坂下の寺は、おめえの屋敷の菩提所《ぼだいしょ》かえ」と、吉五郎は猪口《ちょこ》を差しながら訊いた。
「そうじゃあねえ」
「それじゃあ、お近さんの識っている寺かえ」
「おらあ知らねえ」
「何を云っても知らねえ知らねえじゃあ、あんまり愛嬌が無さ過ぎるな」と、吉五郎は笑った。「もう少し色気のある返事をして貰おうじゃあねえか」
「色気があっても無くっても、知らねえことは知らねえと云うよりほかはねえ。木刀をさしていても、
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