っていた。その帰り道に府中へまわると、町のはずれに鵜を売っている男を見た。かの友蔵もこんな男ではなかったろうかと思いながら、立ち寄ってその値段を訊くと、男は素気《そっけ》なく答えた。
「十五円……。お前さんはひやかしだろう」
いよいよ友蔵に似て来たので、わたしは早々に逃げ出した。
底本:「時代推理小説 半七捕物帳(六)」光文社文庫、光文社
1986(昭和61)年12月20日初版1刷発行
1997(平成9)年3月25日8刷発行
※この作品には、幡随院長兵衛の法事に関する記述がある。幡随院長兵衛の没年は1650年(1657年説もあり)。事件の起こった嘉永二年は、1849年であることから、「三百回忌の法事」は「二百回忌の法事」が相当と思われる。
入力:A.Morimine
校正:松永正敏
2001年2月13日公開
2004年3月1日修正
青空文庫作成ファイル:
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