恨とで、お俊の首を碁盤に乗せて、わざと本家の小栗の屋敷の前にさらして置いたのだろう」
「そんなら銀之助も一緒に殺《ば》らしそうなものですがね」
「殺《ば》らすつもりであったのを仕損じたのか、何かほかに仔細があったのか、どっちにしても万力の仕業に相違あるめえ。しかし相手は天下の力士だ。確かな証拠を挙げた上でなけりゃあ、むやみに御用の声は掛けられねえ。おめえはもう一つ働いて、銀之助の方を調べてくれ。万力の脇差を取ったのは確かに銀之助か、又その銀之助がお俊の家へ出這入りしていたかどうだか、それをよく洗い上げるのだ」
「わかりました。じゃあすぐに行って来ます」
 松吉は受け合って出て行った。ひと足おくれて半七も家を出て、本所の小栗の屋敷に用人の淵辺新八をたずねた。そうして、大瀬の屋敷へ養子に行っている銀之助の行状をふたたび詮議すると、相手が主人の弟であるから、用人も最初は何かと取りつくろっていたが、半七が相当にくわしい事を探っているらしい口振りにおどされて、迷惑そうにだんだん打ち明けた。それによると、銀之助はかなりの放蕩者で、養家の両親と折り合わず、あるいは不縁になりはしまいかと内々心配してい
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