ょう》の悪くない、なかなかしっかり者のようです」
 それは船頭の金八の話と符合していたが、お富がお信という女に好意を持っていないらしいのは、その口ぶりで察せられた。
「自分の供に連れて来るようじゃあ、おめえの娘の気に入りなんだね」
「別に気に入りというわけでもございません。お屋敷内では話すことの出来ない内証話があるので、きょうの供に連れて来たのだと申しまして、奥で暫く差し向かいで話して居りました」
「どんな話をしていたか判らなかったかね」
「わたくし共はあちらへ遠慮して居りましたので、二人とも小さな声でひそひそと話し合って居りましたので、どんな話をしていたのか一向に判りませんでした」
「帰る時はどんな様子だった」
「二人とも顔色がよくないようで……。取り分けてお信は真蒼《まっさお》な顔をして居りました」
「娘はそれっきり来ねえのだね」
「春になっては一度も参りません。去年の暮れに顔を見せましたのが一生の別れでございます」と、お富はまた泣き出した。
 お早とお信が、ここでどんな密談を遂げたのか。この二人はそもそも敵か味方か。帰るときに二人の顔色が悪かったのはどういうわけか。それは容易に解
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