半七捕物帳
人形使い
岡本綺堂
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)猿若町《さるわかまち》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)衣裳|葛籠《つづら》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「日+向」、第3水準1−85−25]
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一
「年代はたしかに覚えていませんが、あやつり芝居が猿若町《さるわかまち》から神田の筋違外《すじかいそと》の加賀ツ原へ引き移る少し前だと思っていますから、なんでも安政の末年でしたろう」と、半七老人は云った。「座元は結城《ゆうき》だか薩摩《さつま》だか忘れてしまいましたが、湯島天神の境内《けいだい》で、あやつり人形芝居を興行したことがありました。なに、その座元には別に関係のないことなんですが、その一座の人形使いのあいだに少し変なことが出来《しゅったい》したんです。今時《いまどき》こんなことをまじめで申し上げると、なんだか嘘らしいように思召《おぼしめ》すかも知れませんが、まったく実録なんですからその
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