、鷹も朋輩、いわば朋輩同士のことだから、なんとかわたしに手伝って、そのお鷹を早く見つけ出す工夫をしてくれませんか。逃がした鳥さえ無事に探し出せば、そこは何とでも穏便に済むだろうじゃありませんか。ねえ、そうでしょう」
「そうです、そうです」と、老人は力を得たようにうなずいた。「それよりほかにしようはありますまい。わたしに出来ることならば何でも手伝いをいたしますから、どうぞ一刻《いっとき》も早くそのお鷹を探し出してください。わたしからもくれぐれもお願い申します」
「おまえさんが手伝ってくだされば、蛇《じゃ》の道は蛇《へび》で、わたしの方でも大変に都合がいい。いい塩梅《あんばい》に雨も大抵やんだようだから、そろそろ出かけながら相談しようじゃありませんか」
 半七は鳥さしの分も一緒に勘定を払って出ると、老人はひどく気の毒そうに礼を云いながら半七のあとに付いて出て来た。鳥さしも鷹匠とおなじことで、ふだんは御用を嵩《かさ》にきて、かなり大面《おおづら》をしているものであるが、この場合、かれは半七の救いを求めるように至極おとなしく振舞っていた。二人は雨あがりの田舎道をひろいながら歩いた。
「おまえさ
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