毎日ほとんどかかさずに食っていた。それはかれの著作、「神代余波」のうちにこういう一節があるのを見てもわかる。
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――かば焼もむかしは鰻の口より尾の方へ竹串を通して丸焼きにしたること、今の鯰《ぼら》このしろなどの魚田楽の如くにしたるよし聞き及べり。大江戸にては早くより天下無双の美味となりしは、水土よろしきゆえに最上のうなぎ出来て、三大都会にすぐれたる調理人群居すれば、一天四海に比類あるべからず、われ六、七歳のころより好み食いて、八十歳までも無病なるはこの霊薬の効験にして、草根木皮のおよぶ所にあらず。
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[#地から2字上げ]大正十三年六月作「週刊朝日」
底本:「鎧櫃の血」光文社文庫、光文社
1988(昭和63)年5月20日初版1刷発行
1988(昭和63)年5月30日2刷
入力:門田裕志、小林繁雄
校正:松永正敏
2006年6月2日作成
青空文庫作成ファイル:
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