っ黒でした。
 そして鷺《さぎ》とはくてうは、染めないまゝで残りました。」
 梟《ふくろふ》は話してしまって、しんと向ふのお月さまをふり向きました。
「さうかねえ、それでよくわかったよ。さうして見ると、おまへなんかはまあ割合に早く染めて貰《もら》ってよかったねえ、なかなか細《こまか》く染まってゐるし。」
 私は斯《か》う言ひながらもう立ちあがりその水銀いろの重い月光と、黒い木立のかげの中を、ふくろふとわかれて帰りました。



底本:「新修宮沢賢治全集 第十巻」筑摩書房
   1979(昭和54)年9月15日初版第1刷発行
   1983(昭和58)年4月20日初版第5刷発行
入力:林 幸雄
校正:今井忠夫
2003年4月2日作成
青空文庫作成ファイル:
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