鳴らした鳥が
いま一ぴきも翔けてゐず
しづまりかへってゐるところは
やっぱり餌をとるのでなくて
石竹いろの動因だった
  ……佐一もおほかたそれらしかった
    育牛部から山《やま》地へ抜けて
    放牧柵を越えたとき
    水銀いろのひかりのなかで
    杖や窪地や水晶や
    いろいろ春の象徴を
    ぼつりぼつりと拾ってゐた……
      (蕩児高橋亨一が
       しばし無雲の天に往き
       数の綏女とうち笑みて
       ふたたび地上にかへりしに
       この世のをみなみな怪《け》しく
       そのかみ帯びしプラチナと
       ひるの夢とを組みなせし
       鎖もわれにはなにかせんとぞ嘆きける)
    |羯阿[#「阿」は一段階小さな文字]迦《ぎゃあぎあ》 居る居る鳥が立派に居るぞ
    羯阿[#「阿」は一段階小さな文字]迦 まさにゆふべとちがった鳥だ
    羯阿[#「阿」は一段階小さな文字]迦 鳥とは青い紐である
    羯阿[#「阿」は一段階小さな文字]迦 二十八ポイント五!
    羯阿[#「阿」は一段階小さな文
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