四〇三  岩手軽便鉄道の一月
[#地付き]一九二六、一、一七、

ぴかぴかぴかぴか田圃の雪がひかってくる
河岸の樹がみなまっ白に凍ってゐる
うしろは河がうららかな火や氷を載せて
ぼんやり南へすべってゐる
よう くるみの木 ジュグランダー 鏡を吊し
よう かはやなぎ サリックスランダー 鏡を吊し
はんのき アルヌスランダー [#ここから割り注]鏡鏡[#改行]鏡鏡[#ここで割り注終わり]をつるし
からまつ ラリクスランダー 鏡をつるし
グランド電柱 フサランダー 鏡をつるし
さはぐるみ ジュグランダー 鏡を吊し
桑の木 モルスランダー   鏡を……
ははは 汽車《こっち》がたうとうなゝめに列をよこぎったので
桑の氷華はふさふさ風にひかって落ちる



底本:「宮沢賢治全集1」ちくま文庫、筑摩書房
   1986(昭和61)年2月26日第1刷発行
   2006(平成18)年2月5日第21刷発行
※縦組みの底本の横向きの「…」は「:」(コロン)に代えて入力しました。
入力:伊藤雄介
校正:小林繁雄
2010年1月20日作成
青空文庫作成ファイル:
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