沼森
宮沢賢治
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)石英安山岩《デサイト》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)5[#「5」はローマ数字、1−13−25]
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石ヶ森の方は硬くて瘠せて灰色の骨を露はし大森は黒く松をこめぜいたくさうに肥ってゐるが実はどっちも石英安山岩《デサイト》だ。
丘はうしろであつまって一つの平らをこしらへる。
もう暮れ近く草がそよぎ防火線もさびしいのだ。地図をたよりもさびしいことだ。
沼森平といふものもなかなか広い草っ原だ。何でも早くまはって行って沼森のやつの脚にかゝりそれからぐるっと防火線沿ひ、帰って行って麓の引湯にぐったり今夜は寝てやるぞ。
何といふこれはしづかなことだらう。
落葉松《ラリックス》など植えたもんだ。まるでどこかの庭まへだ。何といふ立派な山の平だらう。草は柔らか向ふの小松はまばらです、そらはひろびろ天も近く落葉松《ラリックス》など植えたもんだ。
はてな、あいつが沼森か、沼森だ。坊主頭め、山山は集ひて青
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