睡っていました。
「おいどうしたのか。おい。」
「あらお父さん、三人この中へおっこっているわ。もう死んだかもしれないわ」
お父さんの蛙は落ちないように気をつけながら耳を穴の口へつけて音をききましたら、かすかにぴちゃという音がしました。
「占《し》めた」と叫んでお父さんは急いで帰って仲間の蛙をみんなつれて来ました。そして林の中からひかげのかつらをとって来てそれを穴の中につるして、とうとう一ぴきずつ穴からひきあげました。
三疋とももう白い腹を上へ向けて眼はつぶって口も堅《かた》くしめて半分死んでいました。
みんなでごまざいの毛をとって来てこすってやったりいろいろしてやっと助けました。
そこでカン蛙ははじめてルラ蛙といっしょになりほかの蛙も大へんそれからは心を改めてみんなよく働くようになりました。
底本:「新編風の又三郎」新潮文庫、新潮社
1989(平成元)年2月25日発行
1989(平成元)年6月10日2刷
入力:蒋龍
校正:noriko saito
2008年11月30日作成
青空文庫作成ファイル:
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