7」は「□」囲み] かしはばやしの夜《よ》
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桃色の大きな月はだん/\小さく青じろくなり、かしははみんなざわざわ言ひ、画描きは自分の靴の中に鉛筆を削つて変なメタルの歌をうたふ、たのしい「夏の踊りの第三夜」です。
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8[#「8」は「□」囲み] 月夜《つきよ》のでんしんばしら
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うろこぐもと鉛色の月光、九月のイーハトヴの鉄道線路の内想です。
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9[#「9」は「□」囲み] 鹿踊《しかをど》りのはじまり
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まだ剖れない巨きな愛の感情です。すゝきの花の向ひ火や、きらめく赤褐の樹立のなかに、鹿が無心に遊んでゐます。ひとは自分と鹿との区別を忘れ、いつしよに踊らうとさへします。
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底本:「宮沢賢治全集8」ちくま文庫、筑摩書房
   1986(昭和61)年1月28日第1刷発行
   2004(平成16)年4月25日第20刷発行
※文中の括弧で囲まれた解説者による注記は省略しました。
入力:土屋隆
校正:noriko saito
2005年2月21日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
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