ることは
慈雲尊者《じうんそんじや》にしたがへば
不貪慾戒《ふとんよくかい》のすがたです
   (ちらけろちらけろ 四十雀《しじふから》
    そのときの高等遊民は
    いましつかりした執政官だ)
ことことと寂しさを噴く暗い山に
防火線のひらめく灰いろなども
慈雲尊者にしたがへば
不貪慾戒のすがたです
[#地付き](一九二三、八、二八)
[#改ページ]

  雲とはんのき


雲は羊毛とちぢれ
黒緑|赤楊《はん》のモザイツク
またなかぞらには氷片の雲がうかび
すすきはきらつと光つて過ぎる
  ※[#始め二重パーレン、1−2−54]北ぞらのちぢれ羊から
   おれの崇敬は照り返され
   天の海と窓の日おほひ
   おれの崇敬は照り返され※[#終わり二重パーレン、1−2−55]
沼はきれいに鉋をかけられ
朧ろな秋の水ゾルと
つめたくぬるぬるした蓴《じゆん》菜とから組成され
ゆふべ一晩の雨でできた
陶庵だか東庵だかの蒔絵の
精製された水銀の川です
アマルガムにさへならなかつたら
銀の水車でもまはしていい
無細工な銀の水車でもまはしていい
   (赤紙をはられた火薬車だ
    あたま
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