新な設計だ
山の襞《ひだ》のひとつのかげは
緑青のゴーシユ四辺形
そのいみじい玲瓏《トランスリユーセント》のなかに
からすが飛ぶと見えるのは
一本のごくせいの高いとどまつの
風に削り残された黒い梢だ
  (ナモサダルマプフンダリカサスートラ)
結晶片岩山地では
燃えあがる雲の銅粉
   (向ふが燃えればもえるほど[#底本では行末に「)」]
    ここらの樺ややなぎは暗くなる)
こんなすてきな瑪瑙の天蓋《キヤノピー》
その下ではぼろぼろの火雲が燃えて
一きれはもう錬金の過程を了へ
いまにも結婚しさうにみえる
 (濁つてしづまる天の青らむ一かけら)
いちめんいちめん海蒼のチモシイ
めぐるものは神経質の色丹松《ラーチ》
またえぞにふと桃花心木《マホガニー》の柵
こんなに青い白樺の間に
鉋をかけた立派なうちをたてたので
これはおれのうちだぞと
その顔の赤い愉快な百姓が
井上と少しびつこに大きく壁に書いたのだ
[#地付き](一九二三、八、四)
[#改ページ]

  鈴谷平原


蜂が一ぴき飛んで行く
琥珀細工の春の器械
蒼い眼をしたすがるです
   (私のとこへあらはれたその蜂は
    ちや
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