べてさびしさと悲傷とを焚いて
ひとは透明な軌道をすすむ
ラリツクス ラリツクス いよいよ青く
雲はますます縮れてひかり
わたくしはかつきりみちをまがる
[#地付き](一九二二、五、二一)
[#改丁、ページの左右中央に]
グランド電柱
[#改ページ]
林と思想
そら ね ごらん
むかふに霧にぬれてゐる
蕈《きのこ》のかたちのちひさな林があるだらう
あすこのとこへ
わたしのかんがへが
ずゐぶんはやく流れて行つて
みんな
溶け込んでゐるのだよ
こゝいらはふきの花でいつぱいだ
[#地付き](一九二二、六、四)
[#改ページ]
霧とマツチ
(まちはづれのひのきと青いポプラ)
霧のなかからにはかにあかく燃えたのは
しゆつと擦られたマツチだけれども
ずゐぶん拡大されてゐる
スヰヂツシ安全マツチだけれども
よほど酸素が多いのだ
(明方の霧のなかの電燈は
まめいろで匂もいゝし
小学校長をたかぶつて散歩することは
まことにつつましく見える)
[#地付き](一九二二、六、四)
[#改ページ]
芝生
風とひのきのひるすぎに
小田中はのびあがり
あらんかぎり手
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