『春と修羅』補遺
宮沢賢治
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)蠕虫舞手《アンネリダタンツエーリン》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)郵便|脚夫《きやくふ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「(靜−爭)+定」、第4水準2−91−94]
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目次
『春と修羅』補遺
手簡
〔堅い瓔珞はまっすぐに下に垂れます〕
厨川停車場
青森挽歌 三
津軽海峡
駒ヶ岳
旭川
宗谷挽歌
自由画検定委員
[#改丁]
手簡
雨がぽしゃぽしゃ降ってゐます。
心象の明滅をきれぎれに降る透明な雨です。
ぬれるのはすぎなやすいば、
ひのきの髪は延び過ぎました。
私の胸腔は暗くて熱く
もう醗酵をはじめたんぢゃないかと思ひます。
雨にぬれた緑のどてのこっちを
ゴム引きの青泥いろのマントが
ゆっくりゆっくり行くといふのは
実にこれはつらいことなのです。
あなたは今どこに居られますか。
早くも私の右のこの黄ばんだ陰
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