うす紅の雨のやうに地に降りました。
虹猫はもう、ぐつ/\してはをりません。やつぱり歌のつゞきをうたひながらも足のつゞくかぎり早く/\木精の頭のところへ走つて行きました。そして入用な材料は、馬追ひ谷に行けばあると知らせました。
みんなが行つて、地におちたやぶ薔薇の花びらを寄せあつめて持つてかへりました。
で、とう/\、女王様は、薔薇色の靴を御殿中のものにはかせることができ、虹猫は木精の国に、いつまでも好きなだけ、とゞまつておいでなさいといはれました。けれども、虹猫は、もつと旅がしたいからといつて、それをことわりました。
木精たちは、沢山お土産をくれましたけれど、虹猫はたゞそのうちから、魔術の井戸の水を一びん貰《もら》ひました。この水は、一滴目につけると、石の壁をとほして、向うにあるものが見える便利なものです。又マンドリンはぜひもつていけといはれるので、これも貰つていきました。
やぶ薔薇はその後うす紅の花をさかせるやうになりました。
底本:「日本児童文学大系 第一一巻 楠山正雄 沖野岩三郎 宮原晃一郎集」ほるぷ出版
1978(昭和53)年11月30日初刷発行
初出:「赤い鳥」1927(昭和2)年3月
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:鈴木厚司
校正:noriko saito
2004年8月13日作成
青空文庫作成ファイル:
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