に行きますと、時々大きなお腹《なか》をした蛇が出て来ます。そして蛇いちごを喰べては水を飲みますと、すぐそのお腹がげつそりと減るのです。神主さんはきつと蛇がさうするところを見て、自分もお腹をすかしては、御馳走を沢山たべてやらうと、きたない心を起したにちがひありません。相憎《あひにく》と蛇がたべればお腹がへるけれど、人間がたべれば、その身体《からだ》までが溶けてしまふのです。なぜかといへば、蛇は人間を呑んだときにも、矢張り蛇いちごを喰べて、それを溶かしてしまふのですからね。」
そこの人達は成程と思つて、衣物《きもの》と袴とを使にもたせて、そのことを神主さんの家《うち》へ言つてやりました。
底本:「日本児童文学大系 第一一巻」ほるぷ出版
1978(昭和53)年11月30日初刷発行
底本の親本:「竜宮の犬」赤い鳥社
1923(大正12)年5月
入力:tatsuki
校正:鈴木厚司
2005年8月21日作成
青空文庫作成ファイル:
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