した『憂愁の哲理』のなかから、彼の警句の一、二を引いて彼の思想のほんの一端をのぞいてみたいと存じます。
「大人は少年の夢を實現するものである。人はその實例をスウィフトに見る。彼はその少年時代に癲狂院を建て、成年の後、自らその中に收容された。」
また――
「芝居の脇道具で火事が起つた。道化師《ピエロォ》が舞臺の前に立つて、觀客にそれを知らした。觀客はピエロォの洒落と思つて喝采した。ピエロォは重ねて火事を知らした。然るに人々はます/\笑つて喝采した。私は思ふ、世はこの樣に、それを洒落だと思つてゐる洒落者共の一般的歡迎のうちに亡びてしまふだらうと。」
キェルケゴォルの大著『あれか、これか』や『人生の段階』は、文學としてもニイチェの『ツァラツゥストラ』に勝るとも劣らぬものであります。
十八、スウェデンのローマン主義
スウェデンへはデンマルクを通してローマン主義が入りました。此の派の詩人で有名なものはアルムクヴィスト Armkvist、テグネール Tegner、リュドベーリ Rydberg でありますが、中にもテグネールは有名で、其の『フリーヂョフ物語』Fridjef sag
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