至り、スカンヂナヴィア文學に大きな光明をなげることになりました。
十三、諷刺劇の盛時
ホルベル Johan Ludvig Holberg は一六八四年、ノルウェイのベルゲンで生まれ、青年時代にデンマルクの首府ケェプペンパヴンに移り住み、一五七五年[#「一五七五年」はママ]に亡くなりました。歴史、地理、科學、法律、哲學、言語學など、あらゆる方面に精通してゐましたが、それよりも喜劇作家として、非常な名聲をはせ、スカンヂナヴィアのモリエールといふ名を受けました。當時の社會の裏面をありのまゝにさらけ出して、鋭い諷刺をほしいまゝにしました。スウィフトの『ガリバー巡島記』にヒントを得たやうな『ニェルス・クリームの地下旅行』Niels Klims Underjodiska Reis といふ物語の如きは、餘りにも眞に迫つて、偶然事實と符合したので、これは自分のことを惡口したものだと、譏誹の訴へを起したものすらありました。
ホルベルの劇は北ドイツでも盛んに演じられました。またホルベルが、一七二三年に、その第一作を出すまでは、デンマルク、ノルウェイも劇といふものは、ほんの僅かより知られて
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