だんだんおりて行きました。そして山の頂《いただき》の上にうかぶ雲を利用して、身をかくしました。雲の上について飛びながら、その端からのぞいて、ビレラフォンはかなりはっきりと、リシアの山の多い部分を見渡すことが出来、また蔭になった方々《ほうぼう》の谷の中も一度に見ることが出来ました。最初は別に変ったものは何も見えませんでした。それは荒涼とした、未開の、岩ばかりの、高い切立ったような山つづきの土地でした。その国のもっと平坦な部分には、焼かれた家の跡があり、牧野《ぼくや》には、そこで草をたべていた家畜の死骸が、あちこちにごろごろしていました。
『カイミアラがこんな害をしたものに違いない、』とビレラフォンは考えました。『しかしその怪物は一体どこにいるんだろう?』
 僕がさっき言ったように、最初見た時には、切立ったような高い山の間にある、どの谷間にも峡谷にも、別に目立ったものは何も見つかりませんでした。全くなんにもありません。ただ、たしかに、洞穴《ほらあな》の口みたいなところから湧き出して、しぶしぶと大気の中に立ち昇る三すじの黒い煙があるにはありましたが。山の頂《いただき》へ届くまでに、これらの巻くようにして昇って来る煙は、まじり合って一つになりました。その洞穴《ほらあな》は、ペガッサスとその乗り手の直下、約千フィートほどのところにありました。重そうに立ち昇って来るその煙は、いやな、硫黄臭い、息のつまりそうな臭《にお》いがして、ペガッサスは鼻を鳴らし、ビレラフォンはくさめをしました。それに、いつもこの上なくきれいな空気ばかり吸いなれているペガッサスにとっては、あまり気持が悪かったので、彼は翼をあおって、そのいやな煙の辺から半マイルも飛びのきました。
 しかし、あとを振り返って見て、ビレラフォンは何か目についたとみえて、まず手綱をしぼり、つづいてぐるっとペガッサスの向きを変えました。彼が合図をすると、ペガッサスはそれを解して、ゆっくりと空中を舞下って、とうとう彼の蹄《ひづめ》が谷底の岩から人間の高さほどもないところまでおりて行きました。前方、石を投げたら届くほどのところに、三すじの巻き昇る煙を吹いている洞穴《ほらあな》の口がありました。そして、そのほかに、ビレラフォンはそこに何を見たでしょう?
 その洞穴《ほらあな》の中には、奇妙な、おそろしい動物が、からだを丸くして、ごちゃごち
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