べ》を左方《さはう》に廻《めぐ》らしたが、忽《たちま》ち『キヤツ』と叫《さけ》んで再《ふたゝ》び甲板《かんぱん》に跳出《をどりで》た。今迄《いまゝで》は少《すこ》しも心付《こゝろづ》かなかつたが、唯《たゞ》見《み》る、我《わが》弦月丸《げんげつまる》の左舷船尾《さげんせんび》の方向《はうかう》二三|海里《かいり》距《へだゝ》つた海上《かいじやう》に當《あた》つて、また一|度《ど》微《かすか》な砲聲《ほうせい》の響《ひゞき》と共《とも》に、タール桶《おけ》、油樽等《あぶらだるとう》を燃燒《もや》すにやあらん、※[#「火+稲のつくり」、第4水準2−79−87]々《えん/\》たる猛火《まうくわ》海《うみ》を照《てら》して、同時《どうじ》に星火《せいくわ》を發《はつ》する榴彈《りうだん》二|發《はつ》三|發《ぱつ》空《くう》に飛《と》び、つゞいて流星《りうせい》の如《ごと》き火箭《くわせん》は一|次《じ》一|發《ぱつ》右方《うはう》左方《さはう》に流《なが》れた。
私《わたくし》は實《じつ》に驚愕《おどろ》いたよ。
此邊《このへん》は印度洋《インドやう》の眞中《たゞなか》で、眼界《がんかい》の
前へ
次へ
全603ページ中124ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
押川 春浪 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング