いま》、不圖《ふと》此《この》悽愴《せいさう》たる光景《くわうけい》に對《たい》して物凄《ものすご》いと感《かん》じて來《き》たら、忽然《たちまち》樣々《さま/″\》な妄想《まうぞう》が胸裡《こゝろ》に蟠《わだかま》つて來《き》た、今日《こんにち》までは左程《さほど》迄《まで》には心《こゝろ》に留《と》めなかつた、魔《ま》の日《ひ》、魔《ま》の刻《こく》の怪談《くわいだん》。白色檣燈《はくしよくしやうとう》の落下《らくか》、船長《せんちやう》の憤怒《ふんぬ》の顏《かほ》。怪《あやし》の船《ふね》の双眼鏡《さうがんきやう》。さては先日《せんじつ》反古《ほご》の新聞《しんぶん》に記《しる》されてあつた櫻木海軍大佐《さくらぎかいぐんたいさ》と其《その》帆走船《ほまへせん》との行衞《ゆくゑ》などが恰《あだか》も今夜《こんや》の此《この》物凄《ものすご》い景色《けしき》と何等《なにら》かの因縁《いんねん》を有《いう》するかのごとく、ありありと私《わたくし》の腦裡《のうり》に浮《うか》んで來《き》た。
『無※[#「(禾+尤)/上/日」、74−7]《ばか》なッ、無※[#「(禾+尤)/上/日」、74−
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