ると、忽《たちま》ち彌次連《やじれん》は集《あつ》まつて來《き》た。彌次連《やじれん》の其中《そのなか》から第《だい》一に私《わたくし》に飛掛《とびかゝ》つて來《き》た一|人《にん》は、獨逸《ドイツ》の法學士《はふがくし》とかいふ男《をとこ》、隨分《ずゐぶん》腕力《わんりよく》の逞《たく》ましい人間《にんげん》であつたが、此方《こなた》は多少《たせう》柔道《じうだう》の心得《こゝろえ》があるので、拂腰《こしはらひ》見事《みごと》に極《きま》つて私《わたくし》の勝《かち》、つゞいて來《く》る奴《やつ》、四人《よにん》まで投《な》げ倒《たふ》したが、第《だい》五|番目《ばんめ》にのつそりと現《あら》はれて來《き》た露西亞《ロシヤ》の陸軍士官《りくぐんしくわん》、身《み》の丈《た》け六|尺《しやく》に近《ちか》く阿修羅王《あしゆらわう》の荒《あ》れたるやうな男《をとこ》、力任《ちからまか》せに私《わたくし》の兩腕《りよううで》を握《にぎ》つて一振《ひとふり》に振《ふ》り飛《と》ばさんず勢《いきほひ》、私《わたくし》も之《これ》には頗《すこぶ》る閉口《へいこう》したが、どつこひ待《ま》てよ、と
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