ふしぎ》な新體詩《しんたいし》を示《しめ》された。猛《たけ》き武人《ものゝふ》の風流《ふうりう》の道《みち》は、また格別《かくべつ》に可笑《をか》しいではないか。
其《その》詩《し》は斯《か》うだ。
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月《つき》高《たか》く、風《かぜ》は寢《ねむ》れる印度洋《インドやう》。 鏡《かゞみ》の如《ごと》き海《うみ》の面《おも》に。
俄《にはか》に起《おこ》る水《みづ》けぶり。 鯨※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]《げいがく》は吼《ほ》え、龍《りよう》跳《をど》る※[#感嘆符三つ、49−9]
見《み》よ、巨浪《なみ》は怒《いか》りて天《てん》を※[#「如/手」、第4水準2−13−8]《さ》き。 黒雲《こくうん》低《ひく》く海《うみ》に埀《た》る。
閃《きらめ》くは電《いなづま》か、轟《とゞろ》くは雷《いかづち》か。 砲火《ほうくわ》閃々《せん/\》、砲聲《ほうせい》殷々《いん/\》。
見《み》よ、硝煙《せうえん》の裡《うち》をぬけ。 月《つき》の光《ひかり》を耻《は》ぢ顏《がほ》に。
波濤《はたう》を蹴《け》りて數百《すうひやく》の。 艨艟《まうしやう》旗《はた》を捲《ま》きて北《に》ぐ。
逃《のが》るゝ鯨※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]《げいがく》、追《お》ひ行《ゆ》く飛龍《ひりう》!。 飛龍《ひりう》は勇《いさ》み鯨※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]《げいがく》は。
青息《あほいき》ならぬ黒烟《こくえん》を。 吐《は》きて影《かげ》をば隱《かく》しけり。
かの鯨※[#「魚+王の中の空白部に口が四つ」、第3水準1−94−55]《げいがく》ぞ、天《てん》の涯《はて》。 はた地《ち》の角《かく》に至《いた》る迄《まで》。
凡《およ》そ波濤《はたう》の打《う》つところ。 凡《およ》そ珍寳《ちんぽう》の在《あ》るところ。
山《やま》なす浪《なみ》を船《ふね》となし。 千里《せんり》の風《かぜ》を帆《ほ》となして。
跳梁跋扈《てうりやうばつこ》厭《あ》き足《た》らぬ。 かの歐洲《をうしう》の聯合艦隊《れんがふかんたい》※[#感嘆符三つ、50−8]
飛龍《ひりう》[#ルビの「ひりう」は底本では「ひりよう」]は何《なに》ぞ、東洋《とうやう》の。 鎖鑰《さ
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