す子の存在の仲介によって発展した事情に於て××××……それを母の本能が怒ったのだ、何物の汚涜《おとく》も許さぬ母性の激怒が、かの女を規矩男から叱駆《しっく》したのだ。
四五年の日月が経過した。
むす子の画業は着々進んでいるらしく、ラントランシジャンとかそう云った手堅い巴里新聞《パリしんぶん》の学芸欄に、世界尖鋭画壇《せかいせんえいがだん》の有望画家の十指の一人にむす子の名前が報じられて来るようになって来た。むす子はその中でも最年少者で唯一の日本人であるだけに、特別の期待の眼を向けられている様子だった。
「まあ一郎が、まあ嘘《うそ》みたいな話ね。でも有難いわ。やっぱり真面目《まじめ》にやって呉《く》れたのね」
かの女には僥倖《ぎょうこう》という気持と、当然という自信に充《み》ちた気持とが縺《もつ》れ合った。
芸術という難航の世界、夫をそれに送りつけ、自分もその渦中に在る。つくづくその世界の有為転変を知るかの女は、世間の風聞にもはや動かされなくなっているにしても、しかし、それを通じて風浪の荒い航行中に、少くともかの女のむす子は舵《かじ》を正しく執りつつあるのを見て取った。健気《
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