せつな》的恋を追って行くという傾向だろう。だから女の方の傾向もそうじゃないかね。男の方にはヘロイズムがなくなって享楽《きょうらく》生活を非常に重要視している。
かの子 女の方も女の権利とか位置とかを楯《たて》にして案外|浅薄《せんぱく》な利己主義な、お芝居気《しばいけ》を満足させるための気障《きざ》なのも往々《おうおう》にして見受けます。むしろ一般の風潮《ふうちょう》が多くそうであると云い度《た》い位です。そして反射神経でありあわせなラブレターの書式など、実にうまくなりましたこと。然《しか》しほんとうの恋をする女があるということは物論《もちろん》昔も今も決して変《かわ》ろう筈《はず》はありません。真当の恋というものの本質も標準も私が必ず知って居るというわけではないけれど、とにかくより執拗《しつよう》なより永遠的なものということですの。
底本:「愛よ、愛」メタローグ
1999(平成11)年5月8日第1刷発行
底本の親本:「岡本かの子全集」冬樹社
1976(昭和51)年発行
※「青踏《せいとう》時代」「心よさ」「流通|無碍《むげ》」「巧利《こうり》」「理窟《りくつ》」「物論《もちろん》」の表記について、底本は、原文を尊重したとしています。
入力:門田裕志
校正:土屋隆
2004年3月30日作成
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