夏の休暇にはサウザンプトン港から新造の米船に乗りニューヨークに上陸してはるばる北アメリカを横断する計劃が良人と約束してある。ロンドンよりもずっと清新なニューヨーク街の雑沓や速力の早い汽車の南側から眺める米大陸の深林の緑が夫人の空想のなかに浸み込む。だがそれもやがて夫人の頭の倦怠素ににぶく溶け込んで行って夫人はかすかな朝の眠気に誘われはじめた。



底本:「岡本かの子全集2」ちくま文庫、筑摩書房
   1994(平成6)年2月24日第1刷発行
底本の親本:「世界に摘む花」実業之日本社
   1936(昭和11)年発行
入力:門田裕志
校正:オサムラヒロ
2008年10月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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