都から眞晝の同人の楢本と淺見が來てくれたりして嬉しかつた。
信ずるところを述べることはその以前に文學に於て信ずるところを持してゐての上のことである。それを述べて見ることにより、自分の立場が明瞭し、次に進むべき土臺となる。そんな意味からも度々いゝ講演の出來る樣になり度いと思ふ。
二十四日は京都で眞晝の同人達と歡談した。ジル・マルシエツクスの告別演奏會が公會堂にあるので皆で出掛け、其處で外山楢夫先生、外村完二氏にお會ひした。寒い晩でジル・マル氏の鼻が赤くなつてゐた。
○
二月號から飯島正君が同人に加つた。飯島は只今病氣療養の爲逗子にゐる。飯島は中谷と私とが三高の寄宿舍で同室だつたことがある。それ以來の友人である。今飯島を紹介すると共に、願ふことは早く元氣になつていゝものをどし/\書いて欲しいといふことだ。
底本:「梶井基次郎全集 第一卷」筑摩書房
1999(平成11)年11月10日初版第1刷発行
初出:「青空」
1926(大正15)年2月号
入力:土屋隆
校正:高柳典子
2005年5月5日作成
青空文庫作成ファイル:
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