上、逃げ廻る伊吉。右門が駈け附けた時、伊吉足踏み辷らし谷川に落ちる。
 逆流――
 右門助けに走る。暗殺十人組が来る。
 右門と伝六に敬四郎と松の立廻りよろしく。
 結局、右門逆流に飛び込んだ。
 (此の辺相当興行価値をつけるつもりです)
                  (F・O)

86=(F・I)宿の一室
 お類と浪之助。
T「兄さん金を送る事を忘れたんじゃ無いかしら」
 「そんな事あるまい」と浪之助。
T「宿を間違えてんじゃ無い?」
 とお類。
T「此処だと確かに言って置いたんだ」
 と浪之助。
T「兎も角遅いなァ」
 言って居る時女中が、
T「只今江戸から飛脚が」
 二人飛び起きた。
 その儘ドカドカと階下へ下りる。

87=表
 飛脚は敬四郎の乾分松公です。下りて来た二人に「御用ッ」とばかりとび掛かる。
 夕方の宿場の混乱の中に遂に二人を捕えると、宿の二階を見上げて、敬四郎ペコペコ頭を下げて、
T「これで嬶ァに威張れます」
 浪之助とお類、上を見ると宿の二階の手摺りに右門と伝六おふみに伊吉。右門が、
T「いいお湯が沸いてますよ」
T「一風呂浴びて帰ったら何うですお二人」

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