処へ駕籠で来た敬四郎と松公とは、右門を見て茶店の片隅へ隠れてそッと盗み聞く。
伝六は右門に、
T「おふみちゃんの想ってる男ッて誰でしょうね」
おふみ、
「まァそんな事言ッちゃ嫌」
伝六尚も、
T「旦那御存じですか」
「いいや」と右門おふみを見る。
おふみ恥ずかしい。
伝六が、
T「あっしには解ってますよ」
「ホホー」
T「誰だい?」
と右門。
伝六、
「ヘヘン、中々言えませんよ」
右門が、
「誰だ、言えよ」
伝六、
「へ……」
T「当てて御覧なさいよ旦那」
T「誰だか言って御覧なさいよ」
右門が、
T「当てて見ろ伝六」
「アッ、嫌ンなっちゃうな」
と伝六。おふみちゃん大笑い。
蛇が餅の皿の中へニョロニョロ這い込む。
その蛇を餅のつもりで伝六掴んで口の所へ持って行って、ワーッと放り出す。
それが又片隅に居た敬四郎の背中にひッかかって敬四郎飛び上って逃げ出す。足踏み辷らして崖へ落ちて木へブラ下がる。
右門等駕籠に乗って崖の上を走り去る。木に下がっている敬四郎。
T「助けて呉れ――」
T「人殺し――」
その二尺程下は小川のせせらぎ。
松公ジ
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