初夏の野原で、
きらきらする木立の中で、
手には空色の手ぶくろをすつぽりとはめてみた、
腰にはこるせつと[#「こるせつと」に傍点]のやうなものをはめてみた、
襟には襟おしろいのやうなものをぬりつけた、
かうしてひつそりとしな[#「しな」に傍点]をつくりながら、
わたしは娘たちのするやうに、
こころもちくびをかしげて、
あたらしい白樺の幹に接吻した、
くちびるにばらいろ[#「ばらいろ」に傍点]のべにをぬつて、
まつしろの高い樹木にすがりついた。


五月の貴公子

若草の上をあるいてゐるとき、
わたしの靴は白い足あとをのこしてゆく、
ほそいすてつき[#「すてつき」に傍点]の銀が草でみがかれ、
まるめてぬいだ手ぶくろが宙でおどつて居る、
ああすつぱりといつさいの憂愁をなげだして、
わたしは柔和の羊になりたい、
しつとりとした貴女《あなた》のくびに手をかけて、
あたらしいあやめおしろいのにほひをかいで居たい、
若くさの上をあるいてゐるとき、
わたしは五月の貴公子である。


白い月

はげしいむし歯のいたみから、
ふくれあがつた頬つぺたをかかへながら、
わたしは棗の木の下を掘つてゐた、
なに
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