の堤防と名が付きますれば河川法に害を加へることも出來て來ます、急水止と云ふのは堤防でない、一時水を防ぐ、所謂浸水です、水の浸入することを一時防ぐに過ぎないのを急水止と云ふ、過つて手なり足なりを刄物を以て斬る、血が出る、醫師を頼んで來て願ひます、醫師一人が馳せて往く、其間血を垂して居るものは手拭で卷く、之が急水止、それから醫師が來てから本當に療治する、此本法[#「法」に「〔當〕」の注記]の療治をする時は法律に觸れないやうにしなければならぬ、血止を自分の手でやる時に之が惡いと云ふに至つては殘酷も亦甚しいことでございます、(拍手起る)田の畔同樣の一の荒い浪が來れば倒れる、細い堤防が、之が河川法に觸れゝば指で筋を付けても河川法に觸れることになる、何か名を付けて窘める種を拵へて人民を責め付けて盡く買收に應じさせ、盡く一人も殘らず村を買收して仕舞ふまでは此堤防は何處迄も妨害すると云ふことを口で云つて居る、今日は餘程惡黨奴等が正直になつて皆饒舌つて仕舞ふ。
△買收の目的は何にありや[#「買收の目的は何にありや」に丸傍点]
それからさうなれば村を取つて仕舞へばどうするのであるか、貯水地
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